梅花有素心

今日は、生駒の山を越えて、月一回の能の稽古に行きました。

今日の稽古は「井筒」でした。
「井筒」の話は在原業平というプレイボーイが主役の『伊勢物語』の中から題材をとり世阿弥が能として作った曲です。

伊勢物語の中のお話のあらすじはこんな感じだそうです。
妻がいる身である在原業平さんはしょっちゅう奈良から大阪の山を越えて、よその女の人に会いに行っていた。ある日、自分が家を空けるのに奥さんが余りに寛大なことに、業平さんは逆に「仲の良い男でも出来たんじゃないか」と勘ぐりはじめ(笑)、いつものように出かけるふりをして、庭に隠れて奥さんの様子をうかがっていたそうなのですが、奥さんはその時こんな歌を詠んだのでした。
「風吹けば 沖つ白波 竜田山 夜半にや君がひとり行くらむ」
それは、よその女性に会いに行く業平の山越えを案じた情け深い、優しい歌なのでした。それを聴いた業平は反省して浮気心を鎮め妻のもとに帰ったという。。

能の曲としては、この妻の亡霊が主役(シテ)で、幼なじみから夫婦になった、在りし日の業平と自分を想い舞う、それだけの曲なのですが、元ネタの伊勢物語を踏まえて聴くと本当に素直で優しい曲に感じました。

庭では梅が咲いて、めじろが寄っていました。梅の花には素朴な心があるそうです。